位相幾何学(いそうきかがく、topology)は「やわらかい幾何学」として知られる、比較的新しい幾何学の分野である。位相幾何学では、例えばドーナツ(円環)と取っ手のついたコップは同一視される。これはドーナツを「連続」的に変形して取っ手のついたコップにすることができ、その逆もできるからである。ここで、「連続」という言葉を強調することには意味がある。連続性は、まさしく位相幾何学の存在理由となる概念であるからである。連続性を より厳密に定義するために用いられるのが、近さを測る距離の概念を抽象化した 位相と呼ばれる概念である
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ユークリッド幾何学が紀元前にはできていたことと比較すると、オイラーやガウスに始まる位相幾何学は高々250年の歴史であり、大きな差がある。オイラーは、いわゆるオイラーの多面体定理において球面に連続的に変形できるような多面体の辺・頂点・面の数の間にある関係が成り立つことを見出したが、これをもって位相幾何学の始まりとするのが一般的である。
古典的な位相幾何学は、図形として取り扱い易い多面体を扱っていたが、20世紀に入り、(微分可能)多様体、ホモトピー、(コ)ホモロジー、ファイバー束等の新しい概念が導入されて、数学の最先端の一部を成している。位相幾何学の基本的な考え方として、連続写像によって変わらないような性質を見出すことがある。例えば、冒頭のコップとドーナツの例では、どちらも一つのつながった図形(連結性)であり、また穴が一つだけ空いている。このような性質は位相不変量と呼ばれる。視点を逆にして、同じ位相不変量をもつ図形が互いに連続的に移りあうか、という問題を考えることもできる。例えばポアンカレ予想はそのような問題である。
位相幾何学の研究は、低次元の空間を扱うものと高次元の空間を扱うものとで、その手法が大きく異なる。
位相幾何学は大きく、代数的位相幾何学、微分位相幾何学それから低次元位相幾何学に良く見られる幾何学的位相幾何学の三つに分類できる。近年では生物学と数学の学際的分野であるDNAの位相幾何学が勃興した。